SoftBank World 2024が2024年10月3日と4日の2日間にわたり開催されました。今年で13回目を迎える本イベントは、「加速するAI革命。未来を見据え、いま動く。」をテーマに、AI(人工知能)の活用加速に向けた講演や特別セッションなどが行われました。
開催概要
名称: SoftBank World 2024
開催日時:
2024年10月3日(木)臨場開催(限定招待制)
2024年10月4日(金)オンライン開催(事前登録制)
場所: ザ・プリンス パークタワー東京/オンライン
主催: ソフトバンク株式会社
参加費: 無料(事前登録制)
特別講演:孫正義氏による「超知性AIの到来」
ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役 会長兼社長執行役員 孫正義氏による特別講演が行われました。孫氏は、超知性AIの到来とその影響について詳細に語りました。
AGIからASIへの進化
孫氏は、AGI(汎用人工知能)が2、3年以内に実現し、さらにその10年以内にASI(Artificial Super Intelligence:超知性AI)が登場すると予測しました。ASIは人間の知能を1万倍以上超える能力を持つと述べています。孫氏は、AIの進化が指数関数的に加速していることを強調し、この急速な進化が社会や経済に与える影響の大きさを説明しました。特に、ASIの出現が人類史上最大の転換点になる可能性があると指摘しました。
AIの進化段階
孫氏はAGIの進化を5つのレベルに分類しました:
人間のような会話能力
複数の科目で博士号レベルの知能
エージェントとしての機能
AI自体による発明
AI同士の組織的活動
各レベルについて、孫氏は具体的な例を挙げながら説明を行いました。例えば、レベル1では、AIが人間と区別がつかないほど自然な会話ができるようになると予測。レベル2では、AIが複数の専門分野で人間の専門家を超える知識と理解力を持つようになると述べました。レベル3のエージェントとしての機能では、AIが人間の代理として様々なタスクを遂行できるようになると予想。レベル4では、AIが独自に新しい発明や発見を行い、科学技術の進歩を加速させる可能性を示唆しました。最後のレベル5では、複数のAIが協調して組織的に活動し、人間社会と並行して独自の「AI社会」を形成する可能性まで言及しました。
パラメータ数の急増
孫氏は、AIの進化速度を示す指標として、モデルのパラメータ数の増加を挙げました。人間の脳内のシナプス数(約100兆個)が20万年前から変化していないのに対し、生成AIのパラメータ数は急激に増加していると指摘しました。具体的には、2022年に登場したGPT-3のパラメータ数が約1,750億個だったのに対し、2023年のGPT-4では約1兆個に達したと述べました。さらに、2024年には10兆個を超えるモデルが登場する可能性があると予測しています。孫氏は、このパラメータ数の急増が、AIの能力向上に直結していると説明。特に、言語理解や推論能力、創造性などの面で、人間の能力を超える可能性が高まっていると強調しました。
OpenAI「o1」モデルの革新性
2024年9月にOpenAIが発表した新モデル「o1」について、孫氏は「ノーベル賞もの」と高く評価しました。「o1」は従来のモデルと比較して、難解な問題の正答率が大幅に向上しており、人間の専門家を上回る成績を示しています。孫氏は、「o1」の特徴として以下の点を挙げました。
複雑な数学問題の解決能力
高度な科学的推論能力
創造的な問題解決能力
多言語での高度なコミュニケーション能力
倫理的判断能力の向上
特に、「o1」が数学オリンピックレベルの問題を解く能力や、複数の専門分野にまたがる複雑な問題を解決する能力を持っていることを強調しました。これらの能力は、従来のAIモデルでは達成が困難だったものであり、AGIへの大きな一歩だと評価しています。
「知のゴールドラッシュ」の到来
孫氏は、AIによる新たな発見や発明が「知のゴールドラッシュ」をもたらすと予測し、AIによる発明は「早いもの勝ち」になると述べました。この「知のゴールドラッシュ」について、孫氏は以下のような具体例を挙げて説明しました。
新薬開発の加速:AIが膨大な化合物データを分析し、効果的な新薬候補を短期間で発見する可能性。
材料科学の革新:AIが新しい材料や合金を設計し、産業に革命をもたらす可能性。
エネルギー問題の解決:AIが新しいエネルギー源や効率的な発電方法を発見する可能性。
宇宙開発の進展:AIが宇宙探査や惑星開発に関する新しいアプローチを提案する可能性。
さらに、孫氏はAIが「考える」能力についても言及しました。特に強化学習というAIの学習プロセスを通じて、AIは自ら試行錯誤し、最適な解決策を見つける能力を持つと述べています。
強化学習では、エージェント(AI)が「こんな行動や考えはどうだろう」と試行錯誤し、その結果うまくいけば報酬を与えるというプロセスを繰り返します。この報酬の累積を最大化することがAIのゴールであり、その過程でAIはますます高度な解決策を学び取っていきます。
ここでいう「報酬」とは、エージェントが行動した結果に対して与えられる数値的なフィードバックのことです。良い結果を得たときにプラスの報酬が与えられ、望ましくない結果の場合には報酬が与えられない、もしくはマイナスの報酬が与えられることもあります。この報酬は、エージェントがどの行動が効果的であり、どの行動が望ましくないかを学習する手助けとなります。これにより、AIはどの行動が目標達成に有効であるかを学んでいきます。
「例えば、新薬開発の分野では、AIが数千のエージェントを用いて同時に数億回もの試行錯誤を行い、最も効果的な化合物を発見しようとするのです」と孫氏は説明しました。
このように、AIは自らモデルを進化させ、必要なデータを見つけ出し、さらにはゴールをより高く設定することができるようになります。
このプロセスは、もはや人間がAIに何を学習させるべきかを具体的に指示しなくても、AI自身が学び進化することを意味しています。
孫氏は、これらの分野でAIを活用した研究開発を早期に開始した企業や国が、大きな競争優位性を獲得すると予測しています。同時に、AIによる発明や発見が人類全体の利益につながるよう、適切な規制やガイドラインの整備の必要性も指摘しました。
パーソナルエージェント(PA)の登場
孫氏は、2、3年以内に「パーソナルエージェント(PA)」が登場し、個人の健康管理や日常生活のサポートを行うAIが普及すると予測しました。PAの具体的な機能として、以下のような例を挙げました。
健康管理:個人の健康データを常時モニタリングし、適切な運動や食事のアドバイスを提供。
スケジュール管理:個人の予定や優先順位を理解し、最適なスケジューリングを行う。
情報フィルタリング:個人の興味や必要性に応じて、膨大な情報から重要なものを選別して提供。
学習支援:個人の学習スタイルや進捗に合わせて、最適な学習コンテンツや方法を提案。
感情サポート:ユーザーの感情状態を理解し、適切な励ましや助言を提供。
孫氏は、PAの普及により、人々の生活の質が大幅に向上する可能性があると同時に、プライバシーやセキュリティの問題にも十分な配慮が必要だと指摘しました。
AIの最終目標:人々の幸せ
孫氏は、AIの最終的なゴール(報酬)を「人々の幸せを最大化」することに設定し、倫理的な配慮を行いながら「人工知性」「超知性」へと進化させることの重要性を強調しました。この点について、孫氏は以下のような具体的な提案を行いました。
AI倫理委員会の設立:各国や国際機関レベルでAI倫理に関する指針を策定し、監督する組織の設立。
AI教育の推進:一般市民向けのAIリテラシー教育プログラムの実施。
AI研究者の倫理教育:AI開発に携わる研究者や技術者に対する倫理教育の義務化。
透明性の確保:AIの意思決定プロセスを可能な限り透明化し、説明可能性を高める取り組み。
国際協調:AI開発に関する国際的な協力体制の構築と、共通のガイドラインの策定。
孫氏は、これらの取り組みを通じて、AIの発展が人類の幸福につながる方向に導くことができると主張しました。同時に、AIの潜在的なリスクに対する警戒を怠らず、常に人間中心の視点を持つことの重要性も強調しました。
基調講演:宮川潤一氏による「AI共存社会に向けて」
ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員兼CEO 宮川潤一氏による基調講演が行われました。宮川氏は、AI共存社会の実現に向けた具体的な戦略と、企業がAIを活用してビジネスを変革する方法について詳細に語りました。
AIの進化と日本の現状
宮川氏は、生成AIの急速な進化を指摘し、OpenAIの最新モデル「o1」のIQテストでIQ120を超えたことを例に挙げました。このAIの進化速度は、多くの専門家の予想を上回るペースで進んでいると強調しました。一方で、日本のAI活用率は32%と主要31の国・地域の中で最も低く、AIに対する不安や必要性の認識不足が原因であると分析しました。宮川氏は、この状況を「AIギャップ」と呼び、日本企業が国際競争力を維持するためには、早急にこのギャップを埋める必要があると訴えました。日本のAI活用が遅れている原因として、宮川氏は以下の点を挙げました。
AI人材の不足:AI開発や運用ができる専門人材が不足している。
経営層のAI理解不足:多くの企業の経営者がAIの可能性や重要性を十分に理解していない。
データ活用の遅れ:多くの企業でデータの収集や分析が十分に行われていない。
AIへの過度な不安:AIの倫理的問題や雇用への影響を過度に懸念し、導入を躊躇している。
これらの課題に対して、宮川氏は政府、企業、教育機関が連携して取り組む必要があると主張しました。
AIがもたらす機会と脅威
宮川氏は、AIの進化に乗り遅れる企業は仕事(市場)を奪われ、AIの進化をチャンスと捉える企業は仕事(市場)を創り出すと述べ、AI活用をビジネスチャンスと前向きに捉えることの重要性を強調しました。AIがもたらす機会として、宮川氏は以下の点を挙げました。
生産性の飛躍的向上:AIによる業務自動化や最適化により、企業の生産性が大幅に向上する。
新製品・サービスの創出:AIを活用した新しい製品やサービスの開発が可能になる。
顧客体験の向上:AIによるパーソナライゼーションにより、顧客満足度が向上する。
イノベーションの加速:AIが人間の創造性を補完し、新しいアイデアの創出を促進する。
コスト削減:AIによる業務効率化や予測精度の向上により、大幅なコスト削減が可能になる。
一方で、AIがもたらす脅威についても言及し、以下のような点を指摘しました:
雇用の変化:AIの導入により、一部の職種が不要になる可能性がある。
スキルの陳腐化:AIの進化に追いつけない労働者のスキルが陳腐化する恐れがある。
デジタルデバイド:AI活用の格差が、企業間や個人間の格差拡大につながる可能性がある。
セキュリティリスク:AIシステムへの依存度が高まることで、サイバー攻撃のリスクが増大する。
倫理的問題:AIの判断が人間の価値観と衝突する場面が増える可能性がある。
宮川氏は、これらの機会と脅威を十分に理解した上で、AIを戦略的に活用することが重要だと主張しました。
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