
OpenAIは2025年3月27日、同社のAgents SDKがModel Context Protocol(MCP)に対応したことを公式に発表した。これにより、開発者はMCPに準拠したモデルコンテキストサーバーをOpenAIのエージェント環境と統合できるようになる。
さらに今後数カ月以内には、ChatGPTのデスクトップアプリやOpenAI APIでもMCPのサポートが予定されており、AIエージェントの活用がいよいよ現実味を帯びてきた。
このMCPというプロトコルの仕組みや背景については、以下の記事でも詳しく解説している。今回のニュースとあわせてぜひご覧いただきたい。
MCPとは?そして「エージェント時代の標準インターフェース」とは何か
MCP(Model Context Protocol)は、AIと外部のシステムやツールを共通の形式でつなぐための通信プロトコルである。
わかりやすく言えば、AIが「人間の代わりにアプリを使う」ための“共通コンセント”のようなものだ。たとえば、MCPに対応したツールであれば、以下のようにOpenAIやAnthropicなどのAIエージェントが直接アクセスし、情報を読み取ったり、操作したりすることが可能になる。
今日の予定をカレンダーから読み取って、直前にリマインドしてくれる
社内のドキュメントを検索して、該当する仕様書を要約して提示してくれる
営業ツールから顧客情報を取得して、最適なメール文案を作成してくれる
このようにMCPは、AIが複数の外部サービスとつながるための共通言語の役割を果たす。現在はOpenAI、Anthropic、Slack、LangChain、LlamaIndexなどが対応を進めており、将来的には、異なるAI間でも共通の外部ツールを扱える標準インターフェースになることが期待されている。
OpenAI Agents SDKでどんなことができるようになるのか
今回のアップデートにより、OpenAIのAgents SDKで以下のような実務レベルで使えるAIエージェントの構築が可能になる。
社内ドキュメント検索システムとの接続
たとえば、社内のNotionやGoogle Driveに保存された仕様書や議事録をAIが検索・要約できる。プロダクトマネージャーが「過去にこの機能ってどういう仕様だったっけ?」と尋ねると、AIが該当ドキュメントを見つけて要点をまとめてくれる。
人間がフォルダを何層も開いて探す必要がなくなり、情報アクセスのスピードが大幅に向上する。
外部ツール(カレンダー、メール、CRMなど)との連携
営業担当者が「今週フォローすべき顧客は誰?」と尋ねると、AIがGoogleカレンダーで予定を確認し、GmailやCRM(たとえばSalesforce)のデータを参照したうえで、重要顧客や連絡の必要がある相手を洗い出す。そして、そのまま送信できるメールの下書きまで作成することも可能になる。
こうした使い方により、AIが事務作業の一部を代替し、チームの生産性を底上げする。
専門的なナレッジベースを活用したカスタムエージェントの構築
製薬会社が社内に蓄積している研究論文や治験データをMCP対応のナレッジベースに接続しておけば、医療チームが「この薬の副作用に関する過去の臨床データを教えて」と尋ねるだけで、AIが該当情報を抽出・要約してくれる。
これまで検索キーワードの試行錯誤や専門知識が求められた業務も、自然言語での対話だけで完結するようになる。
今後の展望:ChatGPTやOpenAI APIでもMCP対応予定
OpenAIは今後数カ月以内に、ChatGPTのデスクトップアプリおよびOpenAI APIにおいてもMCPへの対応を予定している。
これにより、ChatGPTがMCP経由でユーザーのカレンダーやドキュメント、業務システムにアクセスし、個々の業務や文脈に応じた支援を提供できるようになる。AIが業務アシスタントとして実用化される日が近づいている。
まとめ
今回のOpenAIによるMCP対応は、単なるAPI機能の拡張ではなく、AIが人間のようにツールを使いこなす世界への第一歩といえる。
MCPの普及により、ChatGPTやその他のAIエージェントは、私たちの業務ツールや知識ベース、スケジュールなどとシームレスにつながるようになる。2025年は、AIがチームの一員として本格的に働き始める時代の幕開けになるかもしれない。
特に、社内ドキュメント検索や業務ツール連携の領域では、すでに実用化が進んでいます。たとえば、社内のナレッジを一元化し、問い合わせ対応をAIが代行するツールとして注目されているのが「AIbox」です。
AIboxでは、MCPのような仕組みに近いアプローチで、マニュアルやFAQ、過去の問い合わせ履歴をもとに正確な回答をAIが自動生成。カスタマーサポートやバックオフィス業務において、実際に人の手を介さずに即時対応を実現しています。
このように、AIが“情報を探して答える”存在から“業務の一部を担うパートナー”へと進化していく中で、AIboxのようなソリューションを取り入れる企業も増えつつあります。
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